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『クマグスのミナカテラ』

内田春菊が初の原作付きマンガに挑戦した作品だ。原作は山村基毅って人。新潮文庫。クマグスは南方熊楠。ミナカテラはその南方熊楠が発見した粘菌の学名の一部のこと。南方熊楠を中心に明治時代の青春群像を描いた作品だ。先日読んだ”『坊っちゃん』の時代”と重なる。

幕末物は一通り司馬遼太郎の作品で読んだけど、この明治時代物っていうのもおもしろいねー。しかも、南方熊楠自体が興味深い人物だもんねー。それでもって大学予備門時代にいろんな連中と出会うんだ。正岡子規、秋山好古、尾崎紅葉などなどなどなど。そして、民権運動の大きな波。豪放な男たちが動きまくるわけだね。

それで、また、この内田春菊のペーソスのある絵がいいんだー。ほのぼのとしてて。谷口ジローの劇画調もいいんだけど、内田春菊のコミカルな雰囲気の絵が熱血漢たちを引き立てるのなー、不思議と。熱い連中を熱く描くのは当たり前だけど、内田春菊って、この熱い連中を軽く描くというか一種バカにしてるようなところがあって、そこがまたいい。パワーある人だねー。

内田春菊が、原作者の熱い想いを軽くひょいとかわして描く。このバランスが絶妙って感じ。ホントのとこはどうなのかわからないけどね。それで”『坊っちゃん』の時代”のとこでも書いたけど、登場人物たちがもともとおもしろい生き方をしてる連中なんだから、みんな生き生きしてて楽しい!

ところが、ところが・・・。この作品、大問題があるんだ・・・。それは未完ってこと。未完・・・。話がこれからおもしろくなっていくってとこで終わってるんだよねー。おいおいおいおいおい、それはないだろーーーーー!!!

後書き読むと、詳しい事情はわからないが、どうも担当編集者とケンカしたらしい。マ、マジかよー。このコミックは新潮文庫から出版されているが、もとは潮出版社で販売してたコミックを合本したものらしい。潮出版社ということは・・・「コミックトム」か。何やってんだよー、「コミックトム」!せっかく応援してんのに!

このマンガを途中で終わらせるなよなー!担当って誰?何となく嫌な予感・・・。後書きを読んでいくと、担当者小柴さん。嫌な予感的中。マ、マジかよー。向こうはオレのこと知らないけど、オレこの人知ってるんだよねー。何やってんだ、小柴さん。ま、いろいろあったとは思うけどね。

うーん、オレがすっげー勝手に想像するに、アレだな。奔放な内田春菊を押さえられるだけの器がなかったってとこかな、決め付けてるけど。マジメすぎるというか自分の価値観をそのまま内田春菊にぶつけたんじゃねーのかー?原作者の熱と内田春菊の軽さの絶妙なバランスが生み出す良さを理解できなかったんじゃないの?全然、違うかなー。

後書きには、ここらへんの事情は「やられ女の言い分」っていう内田春菊の本に書かれてるって書いてあるから、やっぱ、この本読まなきゃダメだな。おざきさんのホームページの書評にも出てたしな。読むか・・・。勇気いるなー。

どうも、内田春菊の本って読みたくないんだよなー。この人に向き合いたくないんだよねー。なぜかって言うと、内田春菊って、全然よく知らないんだけど、何だか奔放そうで、いろんな男と寝てそうじゃん。それがダメってことじゃなくて、問題はオレ側。

もし、プライベートで出会うことがあったとしても、絶対、この人が、オレと寝たいなんて考えないってことがわかるからさー。明らかに眼中にないって感じになるのがわかるから、それってくやしいじゃん。情けないというか。他の男とオレの違いは何なんだーって叫びたくなるというか。オレ、この人の本読むときっとそんな気持ちが噴き出してきて落ち込むんじゃないかって気がするんだよねー。

オレの自己嫌悪の話をしたいわけじゃなくて、とにかく、内田春菊って男の中のいろんな感情を引き出しそうな人で興味深いってことを言いたいんだけどね。それで、そういった人の担当になった小柴さんがどんな感情かは知らないけど、とにかく感情をコントロールできず、ケンカ別れ。そんなとこじゃないかねー。

まぁ、相手が男とか女とか問わずよくあることっていえばそれまでだけどね。普通だったら、いろんな感情があったとしても、そんなもん勇気を持って前向きに乗り越えて、理性で何をすべきかを判断するのが当たり前なんだけど、時々いるよなー。感情で意思決定しちゃう人。仕事とかでも。

編集者って、マンガ家に対しては、権力者側なんだから、余計注意して権力の使い方を考えないとダメだよなー。でも、内田春菊と潮出版じゃ、内田春菊の方が権力者側だったりして。

おいおいおいおいおいおい、待て待て待て待て待て。何の根拠もない推測でここまで一方的に書いてるよー。全然違ってたら、すいません、内田春菊さん、小柴さん。

ところで、内田春菊がなぜ原作付きのマンガに挑戦したかっていう理由がいいんだよねー。杉浦日向子が漫画家辞めたんだってさ。オレはこの事知らなかったから驚き。江戸時代の風俗を描いていた人なんだけどさ。この人、時代考証家に弟子入りしてたんだってね。それでこの道は10年かかるって言われて、その間マンガを書いてたんだって。凄い人だよなー。

それで、杉浦日向子がマンガやめたから、その友達の内田春菊が、それだったら彼女に原作を書いてもらって、私がマンガを書こうって思ったらしい。その練習のために、今回の「クマグスのミナカテラ」を引き受けたわけだ。お気楽で粋な理由。こういった人だから、逆に熱く南方熊楠を描けるんだろうね。

とにかく、この人たちのスタンスかっこいいよねー。オレは個人の感情としては、さっきも書いた通り、この人たちに対して、羨望、嫉妬、自己嫌悪とかいろんな気持ちが噴き出しそうなんだけど、それでも、積極的に応援していきたいね、マジで。当然、いろいろ書いたけど、潮出版の小柴さんも「コミックトム」も応援してるよ、ホント。毎月、「コミックトム・プラス」買うし。

※コミック:「クマグスのミナカテラ」/山村基毅・内田春菊(新潮文庫)
(1998/5/28)